中華でカニと言えば上海ガニ
中国のカニといえば、上海ガニが代表格です。しかし、上海ガニの旬は夏が過ぎて涼しくなった9月頃から始まります。今回は上海ガニ以外のカニでも美味しくいただける夏にぴったりの中華料理をピックアップしました。中華食材としてのカニ、そしてカニと他の食材との食べ合わせを通じて、中国の食文化を一部ご紹介します。
冷房で冷えた体を芯から温めるほっこり献立
螃蟹燉南瓜(パァンシィエドゥンナァン)
カニとカボチャの煮物です。
カボチャは皮とワタを取り除いてひと口大に、カニは身と殻を外して大きめに切っておきます。
刻んだネギとショウガを油で炒めて香りを立てたら、カニを加え、カニの身が赤くなった頃にカボチャを入れます。
水を注いで煮立たせ、塩と旨味調味料を加え、煮汁が少なくなるまで煮詰めたら完成です。
地三鮮(ディサンシェン)
ジャガイモ、ナス、ピーマンなど夏に手に入りやすい野菜で作る塩味と辛味が効いた炒め物です。
ジャガイモの皮を剥き、ナス、ピーマンと共にひと口大に切ります。
ジャガイモに電子レンジで火を通したら、野菜を素揚げにします。
油と豆板醤を弱火で炒め、刻んだニンニク、ショウガ、本格中華に欠かせない豆豉、さらにネギと鷹の爪を加えて香りを出します。
砂糖、酒、オイスターソースを小さじ1ずつ、醤油大さじ1、中華だし、胡椒、水溶き片栗粉を加えて、調味料を行き渡らせます。
仕上げにごま油を回し入れて出来上がりです。
榨菜肉絲湯(ヂァーツァイロースータン)
日本でもお馴染みの中華食材ザーサイと細切り肉を使ったスープです。
ザーサイと豚もも肉を長さ4 cm、幅5 mmの細切りにします。
お肉の種類は家にあるもの、お好みのもので構いません。
お肉に塩コショウと紹興酒をまぶして10分付けておきます。
鍋にごま油を引いて温めたら、片栗粉をまぶしたお肉、ザーサイを加えます。
鶏がらスープを注いでアクを取りながら煮ます。
醤油、炒りごま、ごま油、青ネギ、辣油で仕上げて完成です。
スパイシーな香辣ダレが刺激的な献立
香辣蟹(ジャンラーシィエ)
殻ごと素揚げにしたカニを濃厚で辛いタレと絡めたワイルドな料理です。
殻を外さずに丸ごと揚げるので、カニの表面に付いた汚れを流水で丁寧に洗い流します。
食べられない部位を取り除いたら、塩、酒、コショウで10分間下味を付けます。
ニンニク、ショウガ、ネギをみじん切り、鷹の爪を輪切りにしたら、醤油、オイスターソース、黒酢を加えてタレを作ります。
カニに片栗粉をまぶしてカニの表面が黄金色になるまで揚げます。
揚げたカニにタレを絡めたら炒めて仕上げましょう。
清炒蕹菜(チンチャオウォンツァイ)
シンプルな空芯菜炒めです。
ちなみに、中国では空「心」菜、日本では空「芯」菜と表記が違うこともあります。
水分でベチョベチョにならないよう強火で一気に火を通すよう心がけましょう。
空芯菜を洗って水気を切り食べやすい大きさにします。
みじん切りにしたニンニクを油で炒めて香りを強めます。
空芯菜を入れて強火で炒めます。
塩と鶏ガラスープの素で味をつけて炒めたら盛り付けます。
鶏豆花(ジードーファー)
ふわふわの鶏ひき肉をおぼろ豆腐に見立てた、四川の古典的なスープです。
脂肪が少ないむね肉の挽肉を使うとふわふわで繊細な味に仕上げることができます。
鶏むね挽肉に塩コショウ、生姜汁を入れてこねます。
卵白、水、水溶き片栗粉を加えて混ぜて粘度を高めます。
鶏がらスープに流し入れて、満遍なく沸騰するよう火加減を調節します。
このとき、鍋の中をかき回さないよう辛抱しましょう。
アクをとって盛り付けたら出来上がりです。
見栄えも良い食べ応え満点なカニ爪揚げ献立
百花蟹剪(パイホアシェージェン)
カニの爪にエビのすり身をまとわせて揚げた料理です。
見た目にインパクトがあるので、パーティーにもぴったりな一品です。
カニとエビの下処理をして、フードプロセッサーでエビをすり身にします。
すり身には、日本酒、塩コショウ、ごま油を練り込んで冷やしておくことがポイントです。
カニの表面に片栗粉をまぶして、エビすり身で包み、薄力粉、溶き卵、パン粉を順につけて、揚げたら出来上がりです。
涼拌黄瓜(リャンバンホァングア)
ニンニクを効かせたきゅうりの副菜です。
まず、きゅうりに塩をまぶして板ずりし、食感と色を良くします。
次に、ポリ袋に入れて、すりこぎでたたきひと口大の大きさにします。
みじん切りにした長ネギとニンニク、ごま油、酢、塩、砂糖を加えて揉み込み味をなじませたら完成です。
冷蔵庫で15分以上冷やすと味がしっかり染み込んで美味しくなります。
卵とトマトの酸辣湯(サンラータン)
酸味と辛味で卵とトマトをさわやかにいただくスープです。
トマトを食べやすい大きさに切ります。
鍋に、水150 cc、鶏がらスープの素と醤油を小さじ1/2ずつ、塩、コショウ、砂糖を少々、酢を小さじ1入れて火にかけます。
スープが沸騰したら、トマトを加えて溶き卵を加えます。
盛り付けてラー油をかけたら出来上がりです。
夏のカニを中華料理向きに調理するポイント
オスとメスで食べ方を変える
オスとメスで味や旬が異なると言われています。
10月までの時期は卵を持つ産卵前のメスが美味しい、それ以降は身入りの良いオスが美味しいと言われることもあるので、卵も味わいたい場合はメス、身の存在感が必要な料理ではオスを使うと良いでしょう。
旬のカニを狙う
カニは種類と産地により旬の時期が異なります。
旬のカニは美味しさが格別なので、旬の時期に漁獲されたカニを購入するのがおすすめです。
カニの汚れを落とす
中華料理では、カニを殻ごと使うことが多いので、表面の汚れや泥を丁寧に落とすようにしましょう。
硬めのスポンジや小さめのブラシを使うと掃除しやすいです。
カニの中華献立に合うお菓子・飲み物・食器
カニの中華献立に合う甘味
さっぱりした甘味が欲しくなるので、豆花(トウファ)がおすすめです。
豆乳、砂糖をゼラチンで固め、冷蔵庫で冷やしシロップとフルーツを乗せたら出来上がるお手軽スイーツです。
カニの中華献立と合わせていただきたい飲み物
中国では体を温める食材と冷やす食材という考え方があり、カニは体を冷やす食材に分類されます。
ビールはNG、紹興酒は相性ぴったり、アルコールを飲まない人はショウガや黒酢を合わせるといった食文化があります。
涼しさを演出する食器選び
茶器をガラス製にし、竹製のコースターを添えるだけで、普段の中華食器も夏の装いに変えることができます。
透け感のある模様の器も夏ならではの雰囲気を味わえるのでおすすめです。
さっぱり食べられるカニの中華料理3選
カニとキクラゲの中華和え
中華料理の代表食材キクラゲをカニと合わせた冷たい和え物です。
乾燥キクラゲを水に戻して、カニの下処理とゆで調理を行い、キュウリを千切りにします。
カニの身を大きめにほぐして、キクラゲ、キュウリと合わせて酢大さじ2、ごま油小さじ1、醤油大さじ1で調味します。
味を調整したら盛り付けて完成です。
カニ和え麺
カニの下処理を行い、ニンジンとジャガイモの皮をむいて、ゆでたらフードプロセッサーでペースト状にします。
生姜とネギをみじん切り、干し椎茸を水またはぬるま湯で戻して千切りにします。
油を熱したフライパンで生姜とネギを炒めて、カニ、椎茸、ニンジン、ジャガイモ、水を加えて加熱します。
塩小さじ1、砂糖大さじ1、鶏がらスープの素小さじ1、黒酢大さじ2を加えてさらに加熱します。
麺をゆでて油と醤油を絡めたら、餡を乗せて出来上がりです。
冷やしカニ玉
夏仕様の冷たいカニ玉です。
カニのほぐし身と水に戻したキクラゲ、溶き卵、50 ccの水、鶏がらスープの素4 gを混ぜ合わせます。
フライパンに油を熱して、半熟になるまで卵に火を通します。
耐熱の器に油を塗り、卵を入れて電子レンジで600 w50秒加熱し、粗熱をとって冷蔵庫に入れます。
オクラ、ナス、トマトなどの夏野菜の下ごしらえをします。
水100 cc、めんつゆ25 cc、みりん小さじ2、鶏がらスープの素2.5 g、片栗粉で餡を作り、常温で冷まします。
卵を器に盛り付けて、夏野菜を添え、餡をかけたら完成です。
夏の中華カニ献立まとめ
カニはゆでたり、刺身にしたりするだけでなく、揚げ物や和え物でも美味しくいただけます。
日本ではさまざまな調理のバリエーションでカニを楽しむ機会が少ないですが、この読み物をきっかけに、味わってみてはいかがでしょうか。