紅ズワイガニとズワイガニの違いを、完全に把握している人は多くないでしょう。
両者は同じズワイガニでも値段が大きく違います。
本記事では、紅ズワイガニとズワイガニの違いをわかりやすく解説します。
おすすめのカニ購入方法も紹介しているので、参考にしてみてください。
結論から言うと、紅ズワイガニとズワイガニの味に大きな違いはありません。
どちらも甘みが強く、とても美味しいカニです。
違いがあるのは食感、身に含まれる水分量が多少違います。
紅ズワイガニのほうが安い理由は、単純に漁獲量が多いからです。
最後まで読めば、両者の違いや魅力を理解できます。
今回はどちらも国産とした場合の比較です。
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紅ズワイガニとズワイガニの味の違い|紅ズワイガニが安い理由
ズワイガニはオスのほうが高価で、輸入物でも大きければ高値が付きます。
メスはオスの半分ほどの大きさしかなく、市場価値は下がります。
紅ズワイガニのメスは全面禁漁のため、流通することはありません。
値段の違い【紅ズワイガニが安い理由】
紅ズワイガニが安い理由は3つ。
- 漁期が長くたくさん獲れる
- 水分が多く身入りが少ない
- 水分が多いため日持ちしない
味に直結する理由ではなく、希少性や賞味期限の問題が大きいようです。
カニクリームコロッケなどの加工品や寿司ネタになることも多く、カニ味噌は缶やビン詰めに加工されています。
値段もズワイガニの半分ほどで、松葉ガニなどのブランドガニの場合は5分の1から10分の1になることもあります。
全面禁漁のためメスが流通しないことも、ズワイガニとの大きな違いです。
甘み・食感・カニ味噌を徹底比較
どちらも加熱することで適度に水分が抜け、旨みが凝縮されます。
プリプリの食感は減りますが、甘みと香りが増します。
紅ズワイガニの味
紅ズワイガニは水分が多いため、ジューシーでやわらかい食感です。
甘みが強く、カニ本来の味をしっかりと感じられます。
ズワイガニとの違いは、殻が薄く食べやすい点です。
おすすめの食べ方は茹でガニです。
水分が多いためカニ刺にすると味がぼやけ、焼きガニでは水分が抜けた途端にパサつきます。
茹で加減がとても難しく、ジューシーに仕上げるには熟練の技が必要です。
水分が多い紅ズワイガニは、冷凍保存に向きません。
解凍時に大量の水分と一緒に、旨みも抜けてしまうからです。
茹でたあとはできるだけ早く食べましょう。
カニ味噌は加工品に利用されるほど味がよく、十分な量が入っています。
ズワイガニの味
ズワイガニの脚は太く、ぎっしり身が詰まっています。
殻が硬いため、食べやすいような下処理が必要です。
カニ刺・鍋・天ぷらなどの食べ方がおすすめで、加熱すると甘みが増すだけでなく殻からもいい出汁が取れます。
ズワイガニのもうひとつの魅力は、ぎっしり詰まったカニ味噌です。
濃厚で旨みが強く、鮮度がよければ臭みはありません。
メスのズワイガニの甲羅内部にある内子(卵巣)は「赤いダイヤ」とも称され、カニ味噌と混じり合った部分が非常に美味です。
旬と漁期の違い
カニの漁期は基本的に、旬の時期と重なります。
若いカニを獲らないよう、もっとも大きくなるタイミングで解禁されるからです。
乱獲をさけるため、漁獲していいサイズなどを厳しく制限しています。
紅ズワイガニの旬と漁期は地域ごとに違い、結果的に年間通して出回ります。
- 北海道:1月~8月
- 山陰地方:11月~2月
- 北陸地方:6月~8月
ズワイガニの旬はどの産地もほぼ同じで、漁期も旬に合わせています。
紅ズワイガニと違いメスも漁獲しますが、資源保護の観点からオスより漁期が短く設定されています。
紅ズワイガニとズワイガニの産地の違い|日本海側で多く獲れる理由
国産の紅ズワイガニやズワイガニは、ほぼ日本海側で漁獲されます。
カニに適した環境が整っているからです。
ズワイガニのほうが漁獲量が多く、紅ズワイガニと比べ3倍ほど違います。
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日本海側で多く獲れる理由
日本海の複雑な地形や環境は、紅ズワイガニやズワイガニが生息するのに適しています。
水深の平均は1667mと深く、周辺の海と海水が混ざるのは表面のみで海底にはほとんど変化がありません。
「日本海固有水」と呼ばれる海洋深層水には、生命活動に必要な栄養と酸素がたっぷり含まれています。
とくに、海水に溶け込んでいる酸素量は太平洋側よりも多く、カニの餌となる生物が集まってきます。
豊富な餌と酸素に囲まれた水深200m以下の深海は、カニが繁殖するのに最適な環境なのです。
漁法の違い
紅ズワイガニは「カニかご漁」が主流です。
餌の入ったかごを海底に沈め、かごの中にカニが入るのを待ちます。
底引き網漁との大きな違いは2つ。
- カニを傷つけずに漁獲できる
- 甲羅の中に砂が入らない
資源保護のため、規定より小ぶりなものやメスは海へ戻す決まりです。
ズワイガニの主流は「底引き網漁」です。
海底に網を沈め舟で引き、網に入ったカニを引き揚げる漁法です。
1~2名の船員で日帰り操業することもあれば、10人をこえる大型船で数日かける場合もあります。
紅ズワイガニと違いメスも漁獲しますが、小さい若ガニは戻します。
紅ズワイガニとズワイガニの主な産地
北海道・新潟県・富山県・石川県・福井県・兵庫県・鳥取県・島根県などです。
地域ごとにブランドガニが存在し、高値で取り引きされています。
ブランドガニとして認められるには、大きさや重さなどの厳しい基準をクリアしなければなりません。
紅ズワイガニ
- 兵庫県の「香住ガニ」
- 富山県の「高志の紅ガニ」(こしのあかがに)
ズワイガニ(オス)
- 鳥取・島根県の「松葉ガニ」
- 福井県の「越前ガニ」
- 石川県の「加能ガニ」
など
ズワイガニ(メス)
- 石川県の「香箱ガニ」
- 山陰地方の「セコガニ」
など
紅ズワイガニとズワイガニの分類学上の違い|殻の色が違う理由
両者は元々同じ種だと考えられており、分類上の違いもほとんどありません。
大きな違いは見た目の色くらいですが、生息している場所はかなり違います。
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ズワイガニとの生態の違い【殻の色が違う理由】
生息している水深の違いが、大きな理由です。
茹でるとカニが赤くなるのは、殻に含まれる「アスタキサンチン」という色素によるもの。
海中では外敵から身を守るために、アスタキサンチンとタンパク質が結びついて青黒く変色します。
加熱するとアスタキサンチンとタンパク質が分離して、赤色に戻るというわけです。
紅ズワイガニが生息する400~2700mの超深海では、外敵に赤色が認識される心配はありません。
変色する必要がないため、アスタキサンチンとタンパク質が結合せず赤いままなのです。
水深400~600mでは紅ズワイガニとズワイガニの両方が生息するため、まれに交雑種が存在します。
「黄金ガニ」と呼ばれ味もよく希少ですが、滅多に漁獲されません。
見た目や特徴の違い
茹でる前から腹まで色が赤いため、紅ズワイガニと呼ばれます。
深海の水圧を逃がすために、殻がやわらかいのが特徴です。
ズワイガニと違い成長するのに時間がかかるため、1㎏超えの大物は滅多に揚がりません。
メスは隔年でしか産卵しないこともあり、資源保護のため全面的に禁漁です。
腹まで赤い紅ズワイガニと違い、ズワイガニは茹でても腹に白い部分が残ります。
脱皮直後の殻はやわらかいですが、半年ほどで硬くて丈夫な「堅ガニ」となります。
分類学上の違い
分類学上は、同じケセンガニ科のズワイガニ属。
両者は近縁種で、紅ズワイガニの先祖はズワイガニだったとされています。
氷河期に深海に取り残されたズワイガニが、環境に適応するため変化し紅ズワイガニになったと考えられています。
その他のズワイガニ属で流通するのは、オオズワイガニです。
主にベーリング海やカムチャッカ半島東部など、北海道より北の海域に生息しています。
ズワイガニよりも大きく味もよいため、料亭や高級ホテルで重宝されています。
漁獲量が少なく非常に高価なので、滅多にお目にかかれません。
紅ズワイガニを買うなら専門店がおすすめ
カニ専門店の中でも、紅ズワイガニをメインで取り扱っているお店が望ましいです。
鮮度が落ちやすく冷凍にも向かないため、取り扱いが難しいからです。
外国産のカニはどの種類も安価ですが、必ずしも保存状態が万全とはいえません。
カニの味は鮮度によって大きく違います。
下手な外国産のズワイガニを買うくらいなら、国産紅ズワイガニのほうが高品質です。